今回は、当団が委嘱初演を行いましたアンサンブル作品「忘れがたみの丘 / 長生淳」のご紹介です。
2014年の後半に少しずつ委嘱の構想が具体的に進みはじめ、2016年、初演にいたった作品です。
編成は管楽八重奏という少し特殊な構成で、
- フルート
- オーボエ
- クラリネット 1st
- クラリネット 2nd
- アルトサクソフォン
- テナーサクソフォン
- バリトンサクソフォン
- コントラバス
から成る、いわゆる混合編成による作品となっております。
作品に関する解説は、作曲者である長生淳氏より以下のようにいただいております。
この曲のご依頼にあたっては、『スコーグスシュルコゴーデン』―スウェーデンの首都ストックホルム郊外にある「森の墓地」と呼ばれる共同墓地―というテーマをいただきました。そこから哀切・痛切といった感情を基調にして、さまざまな思いが入り乱れる中に、あたたかな気持ちもじわっと広がる、そんな構想を得ました。
『忘れがたみの丘』は、忘れがたい、想い出のよすがとなる丘でもあり、また「忘れがたみ」がしばしば故人の遺児といった意でも使われることから、残された新しい命というイメージも重ねています。
とはいっても具体的に物語や人物を設定しているわけではありませんし、そこに希望を託すというほどの強いものにもなりませんでした。ただ、思い出がはるか遠くにまでさかのぼるようでありつつ、時にまざまざと目の前に立ち上って、それが身を苛むばかりでなく前を向かせ背中を押ししてくれる力ももつ……そんな多層的な時間を感じていただけたらと願っております。
『スコーグスシュルコゴーデン』は、「人は死ぬと森に還る」というスウェーデンの人々の死生観があらわされているといいます。
そんな世界感に共感と着想を得たのをきっかけとして、長生淳氏の手により本作品が生まれることとなりました。
本作品は、2016年11月13日(日)かめありリリオホールで開催された、第40回東京都職場・一般吹奏楽連盟アンサンブルコンテストにて、ミュゼ・ダール吹奏楽団 管楽八重奏のメンバーによって初演されました。
また、2017年2月5日(日)府中の森芸術劇場にて開催される、第40回東京都アンサンブルコンテストでも再演されます。